TS-112PのSSD化によりHDDの頃より発熱の心配が少なくなったので、以前から構想していた静音化 = ファンレス化に挑戦してみました。
1.PWMファンを外して究極静音ファンに交換してみるも無事失敗
TS-112Pに限らずNASにはPWMファンが搭載されています。
発熱状況に応じて回転数を変化させることがでるPWMファンは機能的にはべストだと思うのですが、オーディオ機器視点ではスイッチングノイズの発生源で音質に悪影響ではないかな?とずっと考えてました。
そこで試したのは回転数の固定化。50mmファンは種類が少なく、AINEXのCFZ-5010LAが入手可能なファンの中で一番静音なはずですがファンガードの風切り音で静かとはいえない状況でした。(具体的な数値は後程)
2.ファンを外してみるもファン障害で無事轟沈
標準ファンより静かなものがないのであればいっそ取ってしまえ!となりそうなところですが、ファンの回転数が検出されないとファン障害と認識されていまいます。ソフトウェア的に対処したいところですが、TS-112PではBIOSレベルで制御されているらしくどうしようもありません。
3.そこでゲートリンクのダミーファンキットを試してみる
残る選択肢は「CFZ-5010LAの回転数を下げて風切り音を目立たなくする」か「ファンの回転数をごまかす」の2択。前者は抵抗かダイオードを使って電圧を降下させることで実現できそうですがファン自体は残ります。
後者なら物理的にファンを外せますがそんな便利なものがあるのかな?と調べてみるとなんとありました。ゲートリンク製「ダミーファンキット」です。
製品ページのマニュアルを読んでみるとタイマIC「555」を使って1000 / 2000 / 3000 / 4000rpm相当のパルスを出力する製品のようです。
またキットではあるもののオプションで完成品を購入することもできます。
組み込み時の注意点としてははんだの足でショートさせないように注意すること。基板に両面テープを使って足を貼り付け、HDD基板の絶縁用と思われるポリカ板の上に固定してみました。
4.ファンレス化の効果測定
音質的な効果はわかりませんが、まずはどれだけファン音を減らせたのか確認します。5,000円程度で購入可能な騒音計を使うのがベストですが、相対的に比較できればよいので手持ちのスマホに騒音計アプリをインストールして比較してみます。
種別 | 騒音値(db) |
---|---|
電源OFF | 33.4 |
ファンレスキットのみ | 33.4 |
ファンレスキット+バックアップ用HDD | 46.7 |
標準ファン(低速)+バックアップ用HDD | 50.4 |
CFZ-5010LA+バックアップ用HDD | 64.5 |
標準ファン(中速)+バックアップ用HDD | 64.5 |
標準ファン(高速)+バックアップ用HDD | 72.1 |
なお今回の測定ではNASの排気口にスマホのマイク部分を密着させていたので、体感では気づかなかったバックアップ用HDDの駆動音が混ざっていました。騒音改善目的としてはファンレスキットの意味はありましたが、バックアップ用ストレージもSSDにする必要があるかもしれません。
5.ファンレス化の熱リスクについて
ファンが必要な筐体で無理やりファンレス稼働していることから確実に熱がこもります。ストレージはSSD化しているので良いとしてもCPUの発熱はそのままなので気になるところ。
QTS上で把握可能な温度は、室温27度でアイドル時SSD40度/CPU48度。ランダムアクセスを続けるとCPUが+5度ほど上昇しますが、システム上では60度までは異常ではない模様。
ただしTS-112Pには現在の温度を測る機能はあっても定期的に出力したり記録する機能は無いようです。長期間の温度推移はしっかり把握しておきたいので創意と工夫でなんとかしてみます。