RYZEN 7の常用OCクロックを決めるため、AMD Ryzen MasterとHWiNFOを使ってVIDとクロック毎のCPUの消費電力データを取ってみました。
データ取得環境
AMD Ryzen MasterでクロックとVIDの変更し、CineBenchR15でCPUに負荷を与えた場合のCPU消費電力をHWiNFOを使って計測します。参考にするのは「CPU Package Power」。この値を信じることにします。
VIDとクロック別の消費電力
AMD Ryzen Masterではクロックの変更幅が3000MHz~、VIDが最大1.55vとなっています。そこで3000~4000MHzの100MHz毎にVID1.00~1.55vまでの要所要所のCineBenchR15ベンチが完走した時の最大消費電力(W)を表にしてみました。
また太文字の3つはOCCT負荷テストを20分クリアしています。
0.95 | 1.00 | 1.10 | 1.20 | 1.25 | 1.30 | 1.35 | 1.40 | 1.45 | 1.5 | 1.55 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
3000 | x | 59 | 71 | 83 | 91 | 99 | 107 | 116 | 126 | 137 | 146 |
3100 | – | 60 | – | – | – | – | – | 119 | – | – | – |
3200 | – | 62 | 74 | – | – | – | – | 122 | – | – | – |
3300 | – | x | 76 | – | – | – | – | 124 | – | – | – |
3400 | – | – | 77 | – | – | – | – | 127 | – | – | – |
3500 | – | – | 78 | – | – | – | – | 128 | – | – | – |
3600 | – | – | x | 94 | – | – | – | 130 | – | – | – |
3700 | – | – | x | 93 | 104 | 113 | 122 | 132 | 144 | 159 | 173 |
3800 | – | – | – | x | 105 | 114 | 126 | 137 | 149 | 163 | 176 |
3900 | – | – | – | – | x | x | x | 138 | 149 | 164 | 180 |
4000 | – | – | – | – | – | – | – | x | 153 | x | x(183) |
※「-」は未計測、「x」はOSのフリーズまたはCineBenchのエラーが発生した組み合わせ
一覧表の見どころ
1700の最大クロックである3700MHzは1.2Vで回りました。この時の消費電力は93Wと100W以下に収まっています。1700の最大クロックが3700MHzなのも納得です。
3000MHz固定で安定動作可能な電圧を探ったところ1.0VでOKなことが判明。この時の消費電力はたったの59W。これなら今後発売されるだろうitxマザーボードとロープロファイルCPUクーラーでESXiサーバを作るのも面白そう。
なお0.95vは設定した瞬間画面が暗転したため、これ以上の消費電力削減は無理そうです。
3000MHz固定のまま電圧を0.05Vずつ上げていくと、しっかり電圧の二乗倍に消費電力が上昇していってます。計算通りではあるものの1.40V以降の上昇率が特に大きいのが怖いところ。
VIDを1.40Vに固定した場合の各クロックを計測。3700と3800に一つの壁があるような気がします。またこの設定では4000MHzが通らなかったので1.45Vも試してみたところ遂にCineBench完走を達成。OCCTは落ちるので常用は無理ですが、一応4000MHzでも動作できる石だということがわかりました。
そしてさらに電圧をかければ4000MHzで安定するのでは?と試してみましたが、今度は3900MHzまでしか回らない結果に。そして消費電力は173~183Wと危険領域に突入してしまいました。B350M-AはCPU側が4フェーズしかないのでVRMが悲鳴を上げているはずです。もしかしたら発熱がひどすぎて、高クロック耐性に影響が出ているのかもしれません。
常用クロック設定は?
NH-U12Sのスペックシートを読むと対応TDPは140Wオーバー(AM3+)とのこと。
計測結果から140Wに収まる最高クロックは3900MHz@1.40v、148Wな4000MHz@1.45vもファンの回転数を高めにして使えば問題なさそう。
そしてCPUマージンを持たせるなら3700MHz@1.2vが、性能と消費電力のバランスが良さそうです。